♪ 越中で立山 加賀では白山
駿河の富士山 三国一だよ
歌われよ わしゃはやす ♪
この踊りには足音がない。
どこからともなく近づいて来て、
どこへともなく去って行くようだ。
町筋を影絵の動きを思わせながら進んで行く。
胡弓の音が遠くなり、やがて消えた。
胡弓の音も歌の声もなく、
坂をのぼるぼんぼりの灯の間を、
踊りだけが宙に漂いながら揺れて近づいて来る。
「・・・ねぇ この世のものなの」
踊りが近づいて来る。
胡弓の音が耳に入り、歌が聞こえ始めた。
踊り手たちは目深にかぶった笠の下で、
やや斜め下を見つめながら、漂いつつすぎて行った。(「風の盆恋歌」高橋治) .
ハ゛ック♪「風の盆恋歌」 .